猿の惑星

テレビがコロナウィルスのいい加減な情報しか扱っていないのでつまらないし、気が滅入ってきます。

同じ時間を費やすなら、映画を観ました。1970年に公開された「猿の惑星」その5部作を続けて観ました。話題になったと聞いていましたが、じつはちゃんと観たことはなくて、衝撃のラストだけ知っていました。そもそもその映画が公開された時には映画の良し悪しもわからない子供でした。

さわりをいうと、宇宙飛行士がどこかもわからない惑星に遭難します。そこは猿が知的生命で言葉を話し、人間は猿の家畜で、言葉を持ちません。パイロットのテイラー大佐は、言葉を話すことで猿たちに捕まりひどい目にあいます。猿には大きく分けて3つのグループがあります。知性派のチンパンジー・インテリのオランウータン・単純な暴れ者のゴリラ。テイラーには理解者もいました。理知的な動物学者と温厚な考古学者(チンパンジー)の助けで、猿の街を脱出します。猿たちが禁断の地と言っている場所でテイラーが見たものは、朽ち果てた自由の女神。ここは核戦争後の未来の地球でした。

「続・猿の惑星」は、まさしく続きで、前作のラストシーンから始まり、核戦争で放射能を浴びミュータント化した人間が登場します。猿たちが禁断の地と言っている地下で隠れ住み、コバルト爆弾を神とする宗教に傾倒しています。テイラーは捕えられ、彼を救出にきた同じ宇宙飛行士のブラントも捕まりました。ミュータントの地下都市へ、過激派のゴリラが侵攻してきます。三つ巴の戦いの末、コバルト爆弾によって地球は滅亡しました。

「新・猿の惑星」と続きます。コバルト爆弾で滅亡した未来の地球から、チンパンジーの夫婦が現代の地球に脱出してきます。最初のお話でテイラーを救った動物学者(ジーラ)と考古学者(コーネリアス)です。海を漂流していたところを救助されますが、人々はその風貌にびっくり。言葉を話すと知れたら、一時は人気者になりましたが、人は次第に脅威を覚えます。大統領の側近がジーラに自白剤を使い喋らせたところ、地球が滅亡するとわかり、政府は動揺します。しかも妻のジーラは子供を身ごもっており、その子が長じて子孫を残すことにさらなる脅威を感じたのでした。生まれた子供をサーカスの団に託し、夫婦は逃亡の旅に出ますが、ついに発見され殺されてしまいました。

「猿の惑星・征服」は、成長した、夫婦の子供シーザーが登場します。犬猫が謎の感染症のため絶滅して、人間が代わりに猿をペットにしている世界です。猿は人間と暮らすうち知能が芽生え言葉を発するようになります。シーザーは頭角を現しクーデターを起こします。黒人青年マクドナルドの手引きもありクーデターは成功し、人類に代わる覇者となりました。否定の言葉(ノー)は禁句となり、猿は猿を殺さない、という基本合意ができました。

「最後の猿の惑星」はその後の物語。クーデターの時に猿の協力者だった黒人青年の弟がシーザーの良き参謀として登場します。この世界では主導権は猿ですが、優秀な人間(医者・科学者・教育者)は重用され、それ以外のものは労働者となって、共存していました。過激派のゴリラは単純で、人間から言語を学習するのも嫌で、何かと問題を起こします。シーザーの息子コーネリアスは、ひょんなことからゴリラによるシーザーの暗殺計画を知り、ゴリラに殺されます。地下で生き残り、猿の支配から逃れた人間がいました。放射能で病気になり頭もおかしくなっています。まともな人もいましたが少数派でした。猿の街を発見した人々は使える武器を取って襲撃をかけます。シーザーの作戦で猿たちはこの戦いにも勝利しました。ゴリラのリーダーによって息子が殺されたことを知ったシーザーは、ゴリラに復讐します。それを見た黒人青年(マクドナルド)は、猿も人間社会と同じに(進化)したことを感じたのでした。

この映画は1970年代に作られたものなので、哲学的で壮大なテーマを扱っている割に映像的に非常に残念なところがあります。今日のようにCG技術もありませんから、俳優さんたちは全て特殊メイクで芝居をします。映像が総じて滑稽で埃臭いです。しかし、猿が地球の覇者になったそもそもは、未来世界から来た猿夫婦の存在が始まりです。夫婦の子供が人間に反旗を翻しリーダーとなっていくのです。

最初のストーリーで(テイラーが遭難した未来世界)シーザーの像が出てきます。カリスマ的で、猿たちの間では神と呼ばれる存在です。その像を親であるジーラとコーネリアスが見つめているのです。こうしたタイムパラドックスは興味深いです。

猿の惑星・・・今度は近年に公開されたリメークを観るとしましょう。

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